ノロ、吐物や環境の消毒・注意ポイント
家族が嘔吐、下痢していたら、自分も同じような症状がでてきたという方が外来に来られています。赤い液体はインクです。高さ60cm(膝よりやや上)より落下させると周囲1.6mほどまで拡がります。東京都健康安全研究センターの報告でも、床材によって違いますが、模擬吐物が1.6〜2mほど拡散することが述べられています。ノロウイルスの感染力が強いことは、11月2日のニュースでも触れましたが、気をつけることは見た目以上に広範囲に環境が汚染されていることです。家族が嘔吐したら、慌てずに行動。まずは室内の換気、東京都安全研究センターの報告によると、嘔吐の際の飛沫が、ヒトの口や鼻の高さまで舞い上がることも指摘されています。そして微小粒子が1時間ほど空気中を漂う可能性があります。室内のエアコンなどを一旦止めて、窓を開けて換気をしてください。次に消毒の準備をします。
吐物に対しては、次亜塩素酸ナトリウム液は0.1%、環境の消毒に対しては0.02%の濃度で拭きましょう。噴霧のみですと均一に消毒されないことと、また塩素ガスを吸い込むことになり危険です。また酸性洗剤と混ぜると有毒ガスを発生しますので、くれぐれもほかの洗剤とは混ぜないようにしましょう。なるべく、作り置きはせず、使用する分のみ作って使いましょう。次亜塩素酸は金属に対する腐食作用があり、また赤ちゃんのベッド周りを拭くのもお勧めできません。ウイルス量が多くない環境表面であれば、エタノール(アルコール製剤)を用いて2度拭きで対応可能です。
最近では酸性化することで、ノロウイルスにも効果が期待できるアルコール製剤(ヒトノロウイルスは培養できず実験が困難なため、マウスノロウイルスやネコカリシウイルスで効果が証明されている)も発売されています。吐物を処理する際には、マスク、手袋、ガウンを用意して、周囲から静かにふき取ってください。いくら手袋をしていたからと言っても、最後にはしっかりと石鹸と流水で丁寧に手洗いをしましょう。
平成28年1月8日