2023年末にアルツハイマー型認知症に対する疾患修飾薬が発売されて、現在は2種類の薬剤が使えるようになりました。これらの薬の効果が期待できるのは、軽度認知障害(MCI)と軽度認知症までと言われています。
軽度認知障害の病態で もの忘れに対してより早期に生活習慣を見直したり、治療を開始することでその進行を遅らせることができます。
そこでポイントとなるのが、認知症発症前の軽度認知障害 MCIと呼ばれる病態です。日ごろの生活状況を評価する臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)の CDR 0.5相当に該当します。軽いもの忘れが一貫してみられるようになってきてはいるものの、生活に支障をきたすほどではない状態に該当します。
MCIには記憶障害が主なものとそうでないもの、さらには記憶以外、遂行機能(目的に向かって実行する:料理や買い物でも要求されるもの)、注意機能(必要なことを選択したり、集中し持続する力)、言語機能、視空間認知機能(位置把握能力)の領域における障害が重なるかどうかで、4つのタイプに分類することができます。
MCIは認知症に進行する前段階ではありません。確かに年換算で1割が認知症に進行すると考えられていますが、逆にその倍の2割は正常に回復します。日本人での各タイプ別にみた4年間でのMCIの正常への回復率と進行率を比べたものです。
健忘型のみ(単一領域)のMCIの場合、38.7%が正常に戻っているのが判ります。
では正常に戻るためには何をすべきでしょうか?
今までにやってこなかった新たなことに挑戦しつづけましょう。
運動は自律神経機能を高め、脳の血流改善にもつながります。できれば一人でやるのではなく、グループ活動に参加するとより効果が期待できます。グループの中に若い人もいれば、過去に経験のない新たな視点や希望も生まれてきやすくなります。
まだまだ経験したことのない未知の世界が、一歩を踏み出すことで、あなたのすぐ手の届くところにあるのです。
さあ、今日から始めましょう。
2025年4月18日