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推奨導入期待される高齢者肺炎球菌ワクチン

2024年4月以降、高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種が65歳以上の5歳間隔(65歳、70歳、75歳・・・・100歳)接種が終了し、65歳時の1年間に限定されることになりました。5年ごとの定期接種も視野に経過措置を延期してきたと思いますが、なぜ変更されたのかを考えていきたいと思います。

現在、国内には4種のワクチンがあります。従来から定期接種で使われてきた莢膜多糖体型PPSV23(ニューモバックス®NP)と3種類の蛋白結合型ワクチンです。ただしPCV20(プレベナー20®)に関しては、小児に承認されましたが、まだ高齢者には認可されていません。

蛋白結合型ワクチンの場合にはT細胞を活性化し、メモリーB細胞誘導することで免疫記憶が生まれ、ブースター効果が期待できます。従来から高齢者に使われてきた莢膜多糖体型ワクチンであるPPSV23はB細胞を活性化しますが、T細胞には働きかけないため、反応した抗体は経時的に低下し、5年以上の間隔で反復投与が必要で、再投与で初回同様レベルまでは上昇すると考えられています。

PPSV23は2014年に定期接種に導入されました。侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)とは血液・髄液中に菌が進入して重症化しやすい肺炎や髄膜炎などです。
これらのIPDにおける血清型の推移では、以前から小児の接種に使われてきたPCV13以外の血清型のうち、PPSV23に含まれるものを含め、全血清型での罹患数の減少はみられていません。

2020年以降の減少については、非ワクチン型を含めすべてが約4割に低下しており、新型コロナ対策による感染伝播の減少が要因と考えられています。

肺炎球菌の莢膜はその性質から約100種類に分類されます。PPSV23は23種類と最も広範囲の血清型をカバーします。次に多くの血清型をカバーするのがPCV20で、これは免疫応答の記憶が期待できる蛋白結合型ワクチンとなります。同じく蛋白結合型ワクチンであるPCV15はPCV13より、22Fと33Fの2種類を加えたものとなります。

PCV13定期接種導入後の2013年から2015年と2017年度を比較して、成人でのPPSV23血清型のカバーするIPDに有意差がなく、PPSV23の臨床的意義は保たれているという意見もあります。

米国におけるIPDの2007年から2019年までの推移をみると、PCV13の小児接種開始に伴って間接的にすべての成人におけるPCV13含有血清型の減少が認められています。

なお、米国では1980年代から65歳以上の高齢者においてPPSV23接種は推奨されており、2014年からは高齢者においてPPSV23とPCV13の併用投与の推奨へ移行しています。

米国、英国、カナダ、ドイツ、フランスにおいては高齢者の肺炎球菌ワクチンとしては、どの国でもPCV20接種が推奨されています。PPSV23を接種する場合には、先行してPCV15との連続接種が望まれます。なお、PCV15とPCV13の臨床的効果は同等と言われています。

現在、21価の蛋白結合型ワクチンも臨床試験中で、今後成人向けに特化したワクチンとして臨床現場において活用される日も来ることでしょう。

現時点において肺炎球菌ワクチンを接種する場合には、「肺炎予防、効果的なワクチンの接種法」2020年10月8日のニュースに記載した肺炎球菌ワクチンの接種法をご参考にしてください。なお、この時点での定期接種PPSV23は65歳以上を対象に5歳間隔でしたが、現在は65歳時の1年間に限定されております。可能であればPPSV23接種前に蛋白結合型ワクチンの接種を半年以上前に済ませておくことをお勧めいたします。

2024年5月8日

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