血圧コントロールの指標としての家庭血圧の測定、だいぶ浸透してきているようです。しかし中には家庭で血圧を測る習慣がなかなか形成されない方もおられます。なぜ?家庭血圧が重要なのでしょうか。血圧は1日の中で、運動、食事、ストレス、寒暖差など様々な条件に左右されます。そのような影響を及ぼす変動要因を受けにくく、かつ生理的に最も高くなるのが朝です。そこで朝、食事前に血圧を測ることが基本になります。
家庭血圧と外来血圧の脳卒中発症危険度を比べてみると、血圧との相関が見られるのは、明らかに家庭血圧になります。
そして血圧を下げる薬を多くの方が朝食後に飲んでいます。1日1回飲めばいいはずの薬でも、翌日の朝の薬を飲む前には効果が切れて、血圧が思った以上に高くなっていることもあります。
薬の効果がしっかり翌日まで持続されているかの確認にもなるのです。
「仮面高血圧」をご存知でしょうか?これは診察室での血圧が正常のため、治療の対象とならず、ただし家庭血圧を測ると、高血圧と診断される病態です。
この病態では外来・家庭共に血圧が高い状態と変わらず心筋梗塞などの心血管合併症が起きやすいのです。
この「仮面高血圧」を見つけられるのは、家庭で血圧を測ることができるあなた自身です。
家庭血圧は、起床後1時間以内と就寝前に座位で1-2分安静にしてから、リラックスした状態で計りましょう。各2回測定して、その平均の値を記録しましょう。
日々の血圧記録を見て、その値が目標治療域にあるかどうかだけではなく、毎日の変動や朝と就寝前の差、季節変動などを考慮して、薬の種類や量、内服する時間を決めます。毎日10分の積み重ねが、健康寿命何年分をも左右することになります。
2019年8月2日