健康診断を受けて白血球が多いと言われ、さらに精密検査を受けるよう指導されて来院さる方を例年みかけます。着目すべきポイントは3つあります。
Aさんも、白血球数12,300と多く、精密検査希望で来院されました。他には異常は指摘されて いませんでした。 白血球以外の血球系(赤血球と血小板)に異常はありません。これが1つ目のポイントです。
現在、これらの血球の数値の測定は、昔と違い目視ではなく、自動血球計数器(電気抵抗式:3分類もしくはレーザーフローサイトメトリー:5分類可能)を用いています。
したがって結果一覧に記載されていなくても、自動的に白血球分類(好中球・リンパ球・単球+好酸球・好塩基球)は行われています。結果説明の時に、白血球の種類と数に異常がないかを聞いておくのが2つ目のポイントです。
毎年、健診を受ける意味は、その年毎に癌がないか、生活習慣病に陥っていないかをポイントで診ていくことが重視されがちです。実はもうひとつの重要な視点が、健診結果・数値の変化です。
Aさんの過去の健診結果を見てみましょう。白血球数の増加は以前から指定されていたのです。白血球はストレスなどの生理的な要因でも増加することが知られています。ただし、毎年、多いとなると一過性の精神的負荷や運動では説明しにくくなります。
継続的に体外から負荷をかけているもの、それは、タバコでした。すなわちAさんの場合、禁煙をしないかぎり、再検査をしても同じ結果ですし、精密検査の必要性はありません。なお、今回のケースは健診なので、好中球が増える細菌感染やリンパ球が増えるウイルス感染の場合、発熱や発疹、下痢などの体調不良を伴うため、症状があるときには健診を受けないことを前提に除外しています。
2018年9月25日