風邪の時にあたり前のように病院でもらった総合感冒剤、その成分を考えたことはありますか?
PL総合顆粒をはじめとするこれらの薬剤は、4つの成分で構成されています。
サリチルアミドは抗炎症剤で、アスピリンに近い薬剤のため、インフルエンザの可能性が否定できない場合に用いると、子供ではライ症候群(肝障害や急性脳症)を起こす恐れがあります。
そしてプロメタジンメチレンジサリチル酸塩、別名ピレチアという抗ヒスタミン剤も含まれています。
鼻水などの鼻炎症状を和らげる目的で使われていますが、今から50年以上前に開発された薬です。血液脳関門を通過しやすく、脳にも作用が及びやすいため、集中力や記憶低下の鈍脳を招きます。
現在、医療現場で単独で使われるとしたら、抗コリン性パーキンソン作用を活かして、抗精神病薬投与によって、「足がむずむずしてじっとしていられない。」などのアカジジアに対して、その症状を鎮める目的で処方されます。風邪症状を緩和する目的の総合感冒剤は、本来辛い症状をなるべくピンポイントで抑えるべきです。
期待していない薬効まで請け負い、かつその副作用を抑えるため、成分が追加されているのが現状です。ピレチアは抗コリン作用のため、眠気が出ます。そこで、覚醒目的でカフェインが追加されているのです。
1日コーヒー3杯を飲む人が、風邪でだるいからとエナジードリンク2本(眠眠打破とレッドブル)を飲んで、さらにPL総合顆粒1日3包を飲んだとしたら、1日に摂取するカフェインは700mg以上になります。一般的にはカフェイン中毒には至りませんが、個人差があり、その危険性はないとは言えません。
カナダ保健省は、健康成人の1日のカフェインは400mg以下にすべきとしています。そして最後に、ピレチアは高齢者ではせん妄を来す恐れがあり、控えるべき薬剤です。
2018年7月9日