1月21日の新聞(朝刊)で報道されていましたが、冬場は急激な温度変化に関連する高齢者の入浴事故が多発しています。厚生労働省の人口動態をもとにした家庭浴槽での溺死者は2014年が、4866人で、2004年の2807人と比較して約7割も増えています。しかし消費者庁のアンケート調査では、持病のない高齢者でも事故の危険性があることを知っている人は3割にとどまっていました。
東京都健康長寿医療センターによると、2011年の全国の消防本部の調査から、入浴中の心肺停止状態の搬送件数は、20時をピークとした夕方から夜中に増加しています。
入浴時間帯が一般的に夜が多いことだけが、その原因ではありません。入浴前後での血圧の動きをみてみましょう。
入浴前のリラックス状態では血圧が低く、脱衣室や浴室の寒さで一気に血管が収縮し血圧が上昇します。その後、浴槽内で体が温まり、血管が拡張して血圧は低下します。急激な血圧上昇に起因する心筋梗塞や脳梗塞、また血圧低下に起因する失神など、短時間に発生する生体反応の大振れでアクシデントが発生します。特に高齢者や高血圧、糖尿病などの持病を持っている人はより注意が必要です。日頃の心掛けが大切になります。
入浴時間の工夫、浴室の室温調整を行いましょう。またお湯の温度は熱すぎないように、浴槽につかる時間も10分以内、長湯は禁物です。アクシデントに見舞われた人たちの多くは「自分は大丈夫!」という過信があり、日頃の心掛けの実践ができていなかったことが歪めません。
高齢者の方や独居の方などの事故を防ぐためには周囲の人々の見守りや気配りも欠かせません。
2016年2月1日