今年は9年ぶりに1月に入って流行開始の注意情報がでました。例年、学校で集団感染が起きると、家庭内感染も引き続き起こる傾向があります。この流行時期、どのようにして感染を予防すれば良いでしょうか。ワクチンを事前に打っておくことが基本ですが、昨年の9月18日のかがやきニュースでも触れたように、接種したからと言って100%防げるものではありません。まず、インフルエンザに罹患したら、いつからヒトにうつす可能性があるのでしょうか?
インフルエンザ曝露後の発熱と鼻汁中のウイルス量を調べた実験では、37℃未満のときからすでにある程度のウイルスが存在しています。実際に症状が出始める前日ぐらいから、すでに感染させるだけのウイルスを排出していると言えます。
それでは、次にどのような経路でヒトに感染するのでしょうか?咳などでウイルスを含んだ飛沫が飛び出します。その飛沫を落下する前に近くの人が吸い込むことで、ウイルスは上気道にある親和性の高いレセプターと結合して、体内に侵入します。
もし、100個のウイルスが飛沫と一緒に排出されたら、テーブルに多くが落下しても乾燥に弱く、分単位で死滅、そこに触れて手に着くのは1個程度、さらに手指上でも5分以内に感染力はなくなると言われています。すなわち、手を介した接触感染の可能性はかなり低いと言えます。
ボランティアを募って、普通感冒の原因であるライノウイルスとインフルエンザウイルスの主な感染様式を調べた報告があります。
手を介する接触感染はライノウイルスやコロナウイルスと言ったいわゆる風邪ウイルスで多く、インフルエンザでは少なかったのです。専門書も、飛沫感染が主なものとしてSARSウイルスと一緒に並べています。対策として基本は「マスク」です。感染した人、また感染者と近くにいて曝露された可能性の高い人がマスクをすることで飛沫の排出を抑制することが第一です。またSARSの流行のときに、不織布のマスクをしていた医療者が感染しなかった事実の報告もあります。感染者と接触機会が多い場合には、有効な対策と言えます。
2016年1月25日