インフルエンザシーズン到来・注意点
インフルエンザの流行期に入りました。と同時に急激な寒さのため、ライノウイルスなどの普通感冒に罹患する人も多く、まずはその診断にはコツが要ります。(参照:2019年1月31日ニュース)外来に来られる患者さんの中には、高熱がでてないから、インフルエンザではないと決めつけている方をよく見かけます。
確かに突然の発熱はかなり特徴的な症状ですが、2割の人では38℃はでていません。
そしてB型の場合、65歳以上の人では6割の人は38℃未満です。新型インフルエンザが流行した2009年の報告では、約1/3の発症者で38℃未満であったという報告もあります。すなわち、微熱だからインフルエンザではないとは言えません。
そして診断で用いられる迅速診断キットは、遺伝子検査との一致率が90%以上とかなり感度もよくなっています。ただし100%ではありません。
この検査が陰性の場合、インフルエンザ以外のウイルスによる普通感冒の確率が高くなりますが、1割強にインフルエンザが見逃されています。よって検査のみに頼るのではなく、感染者との接触の有無や咽頭所見などを参考に総合的に判断する必要があるのです。
最後に治療ですが、免疫力のある成人では薬を使わなくても多くは自然に治癒します。ただし中には重症化する人もいて、それは事前に予測できません。そしてタミフル®を飲めば、罹病期間は25.2時間短縮すると報告されています。(参照:2017年11月24日ニュース)。またウイルス排泄期間を短縮することで重篤化しやすい高齢者や小児への感染を減らせることは重要なことです。幾つかの抗インフルエンザ薬があり、それぞれの特徴があります。
これまでの臨床データが豊富なタミフル®やリレンザ®を5日間しっかりと使いながら、この間はウイルス排泄を制御しているという意識を持って自宅療養することをお勧めします。
令和1年12月5日