貧血治療のゴール間違えていませんか?

貧血の患者さんでよく繰り返している人を見かけます。多くの方が十分な期間内服するよう指導を受けていなかったり、治癒したと勝手に思い込み、内服を中断されています。食事として1日10mgの鉄を摂取したとしても、小腸から吸収されるのはそのうちの1〜2mgです。

鉄は人間にとって不可欠な元素、酸化還元反応を利用した電子授受媒体としてエネルギー産生やDNA合成に有用なだけでなく、蛋白と結合したヘモグロビンやミオグロブリンとして酸素の運搬や受容を行っています。人体中の総鉄量は3〜5gで、その7割近くがヘモグロビン内に存在します。

体内での鉄の流れ

そして体内で鉄の多くは再利用されています。しかし、吸収される量と同じ量の鉄が毎日、腸管から排泄されています。それと同時にこの重要な鉄はゆっくり時間をかけて、肝臓や脾臓にフェリチン分子に付いて貯蔵されていきます。

女性では鉄を失う機会として、1日平均0.6mg程度の月経があります。過多月経では16mg/日以上の鉄が必要となります。貯蔵鉄が不足した状態で鉄の多い食事(肉90g+鉄の吸収高めるビタミンC75mg)での吸収率20%と言われているので、1日16mgの鉄を得るには、レバーだと660gも食べないと補えません。その結果、20〜49歳の女性の4割が鉄不足状態です。たとえヘモグロビンが正常でも、血清フェリチンが50ng/ml以下だと倦怠感がでると言われています。

貧血・鉄不足者の割合

鉄剤の内服を始め10日程度で、若い網状赤血球が増え、6〜8週間程度でヘモグロビンが正常化(12g/dl以上)しますが、これで内服をやめてはいけません。

治療は鉄剤内服の長距離コース

体内の鉄の金庫はまだスカスカです。さらに3〜4ヵ月は飲みましょう。そして鉄剤を中止して体内での鉄分布が定常化してから、フェリチンを測定します。目標値は50ng/dl以上です。そして最終的に数か月後に再検査の確認フォローを行い、再燃の有無と必要であればその原因を調べます。

平成29年8月17日

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