お薬手帳は命をつなぐ切符!

東日本大震災から丁度5年が経ちました。震災の時に命からがら避難した人の多くは、お薬手帳を持っていないため、駆け付けた医療者が苦労しました。レセプトと言って医療機関が保険組合から医療費を請求する際に使用する明細書を何とか入手し、治療薬を決めました。また出せる薬の日数に限りがあり、集合避難所にカルテはありません。そのため、お薬手帳が交付されてからは、そこに処方歴や体調の記録をも行い、大いに役に立ったことが知られています。

日頃の診療でもお薬手帳は必須ツールです。お薬手帳から、医者は多くの事を読み取ります。そしてその解釈をもとに、診察の結果と併せて、治療薬とその服用法を決めていきます。

3月11日、かがやき一郎さん71歳が家族に連れられて来院しました。意識がもうろうとして、体に力が入りません。家族は同居してなく、状況がよく判りません。頭部には大きなこぶと額に皮下血腫があります。熱もあります。幸いお薬手帳を持って来られました。

腎臓が悪く、服薬の副作用歴から、糖尿病、高脂血症はありそうです。またアレルギー体質があり、抗生剤にも注意が必要です。

次に、最近の処方履歴を見ていきましょう。薬をもらった薬局が変わっています。病院を変えたようです。意識がもうろうとしている原因が、処方履歴から幾つか浮かんできます。低血糖を起こしやすい糖尿病薬、その作用を増強する薬剤の併用や腎機能低下の進行。また高マグネシウム血症による意識低下や脱力症状。筋肉に力が伝わりにくくなる安定剤や筋弛緩剤の併用、その結果、もうろうとして転倒、頭部打撲したと考えられます。血小板の機能を抑える薬を2種類飲んでいます。頭蓋内出血は起きていないでしょうか?幸い出血はなく、意識に影響した薬剤を止めることで意識は清明に。熱の原因は尿路感染でした。抗菌薬はアレルギー歴と腎機能障害から、ホスホマイシンか、ST合剤を調整して使うこととしました。

1冊の手帳は、過去の病歴、現在の病状、そして行うべき検査、最終的な治療薬へと導かれていく適切な医療へ繋がる、まさしく命をつなぐ切符です。

平成28年3月10日

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